H-Ohtsu 2004 No.38

このサイトで使うため自分の楽器を自然光で撮影してみた。といっても窓際に持っていってカーテン越しに撮っただけ。この楽器は大津さんというクラフトマンが作成した2004年製の楽器でこのかたは楽器だけでなく美術品も作成されていたらしく、とても丁寧な仕上がりの楽器。これがどこで間違えたかロック専門のギターショップという場違いなところでしかも値札を何本も修正され売れ残っていた。

バックサイドにハカランダ、塗装はセラック、この仕様からするとタダみたいな値段だったのは、このかたは生涯50本くらいしか作ることなく亡くなったんだそうで、ネットに売買情報がなく、ありえない破格値で売られていたようだった。

わたしは一本だけちょっといい値段の楽器を持っていて、そんな値段だから穴を開けてピックアップを搭載するには忍びなく、かといって市販のエレアコでは役不足を感じていたところに、この楽器が目の前に現れた。独奏だったらピックアップはいらないのだけど、ピアノなんかの爆音楽器と演奏するにはどうしてもピックアップは必要だ。

作者のかたに心で断ってピックアップを搭載し、この楽器は実質わたしの現場のほとんどを賄うメイン楽器となった。

ピックアップは先代の楽器で試しに試してたどり着いた、LR BacksのDUAL SouceにピエゾパーツにFishmanという巨人と阪神が手を組んだような仕様、現場の音響の人に褒められる自慢のシステムだ。

わたしはレフティなので弦を逆さに張り替えている。そんなことをすると低音が大きくなり、高音が引っ込むらしいのだが、アルゼンチンタンゴの低音のグリッサンドやアウフタクトのフレーズには都合がいいことが大いに手伝って、タンゴの演奏はほぼこの楽器の担当になっている。

弦は123弦は過去に低音弦ばかり交換して余ったオーガスチンの青を、頻繁に交換する456弦はサバレスのNew Crystalの赤にしている。この弦は爽やかさが持ち味で決して重たい音でないところが低音が出すぎたこの楽器には合うと思って使っている。

がんの治療が終わった半年後にわたしの手元にやってきたこの楽器、リセットされたわたしの人生のはじまりなタイミングに合わせて現れ、以降予定と違ってひとりで歩んでいく第二の人生の相棒となった。

なによりも高級楽器を買う身分から遠く離れてしまったわたしに音楽の神様が与えてくれた最後の贈りものだと思っている。

*追記。その後の情報を調べようと先ほどネット検索してみたところ、8万くらいの値段でオークションに出ている物件を見つけた。No34とある。わたしのは38なので近い作品だけど写真を見ると表板の色や裏の材の模様は異なるようだ。この作者を知るクラフトマンのかたによると私の楽器は40~60万くらいだったはずとのことだったが、実際はどうなのか…。

これは知らないほうが面白いかもしれない。安かろうが高かろうが、わたしはこの楽器の音が好きで使っている。

#スズキイチロウ #ohstuguitar

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