Nikkor20mmF4

Nikkor20mmF4 X-H1 Minolta MD Micro-RORRKOR50mmF3.5で撮影

すっかりジャンクワゴンに燃えないゴミ以外のものが見当たらなくなった。

一年ぶりにジャンクレンズレビューを行おうとしているのだが、そうなんですね、転売目的の人がごっそり買っていってしまうのか、物価高騰で現役のカメラやレンズにいよいよ手が出なくなり、購買欲を慰めるために、古いレンズを買い求める人が増えたのか、あるものといえば80年代以降のプラカメとそれについていたキットズームレンズしかない。当時ここにあった多少傷んだ単焦点レンズは、今では傷んだ状態のまま、3000円くらいの値札をつけてショーケースにおいてある。

それでも万が一の出会いを求めて、というか当時のクセが抜けずに、つい夢遊病者のようにリサイクルショップに足を運んでしまうのだが、ショップもそんな我々ジャンクジャンキー?の行動を先読みしてか、撒き餌としてこんなものをときに忍ばせている。

いや、そんなはずはない、おそらくこのレンズは、ヘリコイドがスカスカ、前玉に傷らしきなにか、後玉にカビ、こんな状態でパートのおばちゃんがマニュアルどおり¥500のラベルをべったり貼ってジャンクワゴンに投げ入れてしまったものではないか。

救出直後の姿

写真は持ち帰ったばかりの姿。写真では確認しづらいが前玉にざっくりと傷のようなものが見受けられたが、お店でこれを手にし、傷らしきものを爪でこすってみると、剥がれていく。傷ではなくこれはなにかの液体の汚れ、これはもう勝ったも同然、後玉のカビやヘリコイドは多分簡単にレストアできる。

後玉のカビ。Nikonのレンズはコーティングが強いので修復しやすい。

飾りリングに「Nikkor」とだけ記してるものは、マニュアルフォーカス最後の世代のレンズのようで、分解はこれが初めてちょっと覚悟をした。なぜならこの時代ものはそろそろ経費削減で接着剤で止めてしまう不可逆仕様があり、このレンズもそうらしいのだ。ところが

このイモネジを緩めて、ゴム手でリングを回しただけで、あっけなく化粧リング一式がくるくる回って外すことができてしまい、あとは昔からのNikkor仕様で、レンズの中身が絞り機構も含め一式ごっそり抜け落ち、レンズ部と外側のヘリコイド部にいとも簡単に分解できる。

思ったとおり、レンズは元があまり傷んでおらず、後玉のカビを除去しただけで、ほぼ完璧な仕上がりになった。

問題のヘリコイド、本来なら全部バラして古いグリスを除去した後、新しくグリスを塗布して仕上げるとこなんだけど、それはとても手間がかかるし、一歩間違えると延々距離の調整をすることになる、過去に痛い目にあっているので、ここは手抜きというかズルして、よく覗き込むとわずかに見えるヘリコイドのネジ山、ここに注射器で用意したグリスを様子を見ながら少しずつ注入して、なんとか整えてしまった。

さて作例です。

茨城県筑西市雨引観音 X-H1 F8か11

Exif情報がないので忘れてしまったが、F8か11あたりで撮ったと思う。APS-Cカメラなので実際の画角は30mmだけど、オールドで広角撮影なんて普段ない経験なのでこれでも十分うれしい。四隅もあまり破綻なく、色収差もほとんどないのはさすがNikkor。よく写っている。

茨城県筑西市雨引観音 X-H1 F8か11

傘の隙間から覗いているぷりんちゃんにピント、その後ろの階段から上の山門までよく写っている。なかなかいいですぞこれ。

換算30mmのレンズなんて他にあるとすればフジ純正の標準ズームくらいしか実現できない、でも現代レンズと比較してどうか知りたいので撮り比べしてみた。

まず一枚目。牛久市牛久シャトーの本館全景。

二枚目。どちらも絞りはF8、よく写ってます。正解は一名目がNikkor、二枚目がFuji XF18-55mmF2.8-4。Nikkorが若干暗く、色は青に多少転んでいる。解像度はFujiに叶わないが、どうです?Nikkorのほうがどこかロマンチックな色味と立体感を感じませんか?

気になるのはレンズ収差、デジタル補正が関係ないマニュアルレンズだから、正直に樽型の収差がある。まずこの一枚目がまさにそうで、次のフジと比べるとちょっと分が悪い。

フォトショで修正し、ちょっとコントラストを強調したのがこれ。わたしはかなりイケると思ってるんですが、いかがでしょう。

弱点はというと、実はとてもピントの山を読みにくて、広角なのにけっこう失敗写真を量産しました。

もうひとつ、動画撮影で使ったら、これが驚く成果で、広角なのに立体感あふれる作品が撮れてしまった。これは今後のぷりんちゃんねる(筆者が行っているyoutube演奏配信)で使いますから、もしよかったらライブ情報の欄からチェックしてみてください。

最後に当時のカメラボディに装着して記念写真。Nikomat ELは当時とても売れたみたいで、ジャンクでもよく見かける。電池ボックスがミラーの影に隠れていて、なおかつ専用電池であることから、キタムラなんかの専門店以外のリサイクルショップにあるものは、未確認だからジャンクという査定で出てくるものがあるはずで、そこが狙い目。この個体はまさにその流れで、傷ひとつない完動品を800円で救出してきました。

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一年ぶりの更新です。一年前の今頃から、配信トラブルがPCトラブルに発展し、なんと一年間この呪いに取り憑かれ悩んだまま、ホームページを管理する余裕も失っていました。いけませんね、時間は限りあるというのに。今月やっとすべてを解決させて時遅しとはいえ、ライブ配信もこのサイトもリニューアルです。

その間、いただきものもあり、けっこうな珍品、例えばRorreiの一眼レフと50mmの明るいレンズとか、Canon FDの1.4やマクロ、Mamiyaの一眼と単焦点レンズなど。仕切り直して紹介していきたいと思います。

また、いちおうわたしはギターを操るお仕事をしてきた者でして、そこらの話題は面倒でややこしくなるから、避けていたんですが、これもそろそろあけすけに書いて、誰か当時のジャズやタンゴをいいとこ取りしてくれそうなかたに、メッセージを、そんなふうに仕切り直して、今回からまた更新していきたいと考えてます。SNSと違って、気を使って言葉を選ばなくていいのが自己サイトの利点ですので。

スズキイチロウ

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