みなさまこんばんわ。
ナガイネ!のフンドシブログでございます。
文字ばかりダラダラなフンドシ、購読されているみなさま、ありがとうございます。
昨月、とってもよく働いたご褒美に、安いデジカメを買ってもらいまして。
今回はイマドキiphoneで撮って貼って書いて のブログのように写真満載で「彩りフンドシ」を旧来の方法で作成できるかというのが裏の目的よオクサマ。
そんなで今日のネタは、珍しく楽器ネタです。
ギタリストが心を痛める不適切な画像が含まれています。
…。
そもそもは秋のツアーの初日の桜座、大先生との共演で。
真似をして楽器を叩いたりこすったりしたからか。
翌日からなんだか楽器の調子がおかしくなり、けっこうなノイズが出始めまして。
使い物にならなくなってしまったこのギター。
商売道具を。どうしてくれる。
はいコレ、この楽器です。
国産ですよヤイリ。値段も「え?そんなの使ってるの?」と言われればはいスイマセンという、既成品な楽器です。
昨年のツアーの映像でも弾いてますね。左利き用が得意な御茶ノ水の楽器店でいちばん使い物になりそうなエレアコでしたが、こんなもんしか既成品の左用ギターって売ってないんですよ。
コレ、なんで手に入れたかというと、以前はオベーションのガットギターをインチキボサノバとか なんちゃってメセニーとか、つまりナイロン弦な演奏では使っていたんですが、ある日、何もしないのに表板が割れまして、しょうがないから修理に出した後、今度は違うところが割れまして、これじゃ仕事にならないんで、こんなアメリカかぶれのオベーションなどいらんわ とさっさと見切りをつけ、でもナイロン弦がないと困るので、緊急措置でこれを買いました。
ナイロン弦の楽器はワタクシ、現在3本所有しています。壊れたオベーションはすでに楽器でなく粗大ゴミなんでそれ以外で3本ね。この楽器は、2番めに活躍している、つまり2号機です。1号機は自慢の純正クラシックギターでピックアップは当然ついてません。3号機はクラシックギターに後付けでけっこう高級なピックアップシステムを搭載したもので、価格と仕様は2号機より高級なんですが、音色は2号機が「いかにもピエゾ」な南米テイスト、タンゴのB級アルバムとか、youtubeのいかがわしい隠し撮りアルゼンチン産ライブなんかのあのテイストなんですね。
壊れた2号機。つまりピックアップ部分、電気装置周辺の故障。
ツアー後、修理に出しまして。
しばらくたった後の答えは、「直らない、メーカーに送り返して部品丸ごと交換して、5〜6万」とかいう今どきな返事。
このパーツ一式は確か、安い値段のギターにもついていたはずなんだけども。もう廃盤で実物は売っていないそうで、現行品はこんな高価な値段という。ほんとかな。
さすがにこの2号機、5〜6万じゃないんですけど、まあそれを2本足したくらいのもので、この修理代なら頭金にして楽器が一本買えます。
専門家がなおらないと言ったこの2号機。長い付き合いです。
ギターというのは、高級だから音色が良いというほど単純でなくて、バンドに馴染む音、南米な音楽に馴染む音というのがあるんですね。そういうところも案外アタリな楽器だったんです。
なので、壊れたまんま引退というのも悲しい。
しか〜し、今の世の中は厳しく…
5〜6万出して直すか、引退させてそのまま家での練習用するか、どっちだどっち。
二者択一。
どっちに転んでも、何かスッキリしませんよね。
勝ち負けでいうところのどっちも負けのような。
だって楽器というのは直してナンボで使い続ける道具ですよ、ラジカセみたいにダメなら買い換えるものではないですよねみなさん。
なので。
…。
自分で直すことにしました。
まず、このノイズは、さっきも書いたように電気部分に問題を抱えています、楽器の生の音は問題なく、アンプから出る電気装置の問題ということですね。で、アンプに繋ぐには、楽器に電線を差し込むんですが、ここの金属部分を触ると、そのノイズが消えるという現象が今回の特長です。
エレキギターだとよくある話で、つまり典型的な「アースがとれてない」状態。
しかしです。ここから先、電気の話なんでギタリスト以外の多くの人が脱落するでしょうが、まあ聞いてくださいよ。
この楽器、ナイロン弦、つまり通常のエレキのような仕組みとは違うんですね。フレミングの法則で振動した鉄の弦を磁場が拾って、つまり発電して信号にするのがエレキギターの原理なんですが、ナイロンは絶縁体、なのでフレミングもクレメンスも関係ありません。
では、どういう仕組で鳴っているかというとピエゾ素子というけっこう最近な(と言っても楽器に使われはじめたのは70年台)発明のもので、つまり微々たる圧力の変化を電気に換えるという仕組みです。具体的にはギターのブリッジの下にこの素子を敷いて、張弦の圧力で固定し、弦が振動するとその振動をさらなる圧力として反応するというものです。
この仕組みのものは、そもそもアースがとれないんですね。
そう考えると、確かにこの故障は、パーツを全交換するか、引退させて家の練習用の方向です。
でも、金属部分を触ると、ノイズが消えるわけですから。
そこをずっと触っていればいいのではないか。
しかしそれは手かそれに変わる何らかの自分のパーツがないと演奏は不可能。
ならば、いつでも触れている箇所にこの回路を拡張して設置する。
それはどこかというと、利き腕のギターに腕が乗っかるところ。
ここに導電板を設置し
私が自ら感電して、アースになる、すなわち
「 人 間 ア ー ス 」、
この仕組を構築すればいいという結論に達しました。
…。
材料)厚さ5mmのアルミ板、ボルトナット、ボルトと同じ頭の木ねじ、アース線、アース端子
まず下準備としてコレ。
ギターの差し込み口、ジャックですね、ここはナットで止まっているんですが、ご覧のように何も考えずに外すとギターの中に落ち込んでいって、元に戻すのに一苦労してしまいます。ちなみにこの場所は、サウンドホールから手を突っ込んでも届かない距離(手が入らない)です。
その細作として、まずこれを作りました。これをジャックに刺したまま作業すれば、中に落ちていってもまた元に戻せるというものです。
使わなくなったケーブルの先端を鉄ノコで切って銅線で金具作って、メガネを首からぶら下げる紐みたいなのが余っていたのでそれを取り付けました。これでジャックが中に落ちても大丈夫。
次に、アルミ板をこのようにカッターで切りまして。
切り口が危ないので、ヤスリで仕上げ、角をいかにも手作り風に丸く仕上げているところがニクイですね。
問題はどこからアースをとるか。
中の部品を取り出してみると。
ジャックそのものからとっても良かったんですが、ジャックのアースがここまで配線されているので、ならば距離的に、ここからかと。
ここで、問題が。ココ、このように、上から極小のネジで電線を止める仕組みになっているんですが、実寸はあまりに小さい。キャベジン一粒くらい、なんでこんな例えしか出てこないのか不思議ですが、まあそのくらいの大きさで、当然差し込む穴はさらに極小です、シャープペンのが2本入るかどうかくらい。ここに気合いでアース線をねじ込んで、ネジ止めをしなければなりません。予定外の時間がかかりましたが、銅線の先を紙ヤスリで削って先端を針のように仕上げ、なんとか挿入し解決。
挿入した銅線を触ると、確かにノイズが軽減します。なんとかこの方法でいけそうです。
挿入した銅線の逆の先端は、ご丁寧にアース端子をハンダ付けして先端にしました。こんなこともまでしなくてもいいような気もするんですが、ワタクシ、こういうことに関しては、やるとなったらちゃんとやらないと気がすまないタイプなのでもう止まりません。配線も別にそこいらの余った電線で済むはずですよね、でも「アースといったら銅線」ですから。
こんな感じです。
そして、いよいよ、長年連れ添ってきた楽器に、ドリルで穴を開けるときがやってきました。
心が痛みますが、そのままにして引退というのはもっと可哀想なのでここで心を鬼にしまして。
案外ギターの横板って薄いんですね、何の抵抗もなく、さっさと貫通。
穴を広げてボルトを通し、楽器の中に出てきたボルトの頭に、アース線を挟んで、ナットで締める予定。
ここでさらなる試練。
サウンドホールから突っ込んだ手がギリギリで届きません。ここは、無理をして正面突破か、お箸やピンセットでチマチマやるか、そろそろ集中力が萎えてきたのでサウンドホールの穴が腕に食い込む痛みを我慢しての正面突破。
痛い思いを我慢して、ボディの中から気合いでナットを装着。
完成間近です。
もう片方は、ボルトである必要がないので、木ねじで、こちらも装着して、
ついに完成。
このとおりです。
つまり、ワタクシの腕がこのアルミ板に触れて感電し、つまり私がアースとなり、ノイズを駆逐するという
人間アースギターの完成です。
ただし。
演奏時は必ずここに触れて感電していなければならないので、
どんなに寒いところでも、ちゃんとした服装で演じなければならない現場でも
腕をまくって弾く
これが条件よ。
どうです、上出来でしょう。
ワタクシのことを、ギターを弾くことと、車の運転以外はペヤングソースやきそば作るくらいしかできないダメ男と思っていた数少なき仲間のみなさん
どうです、図画工作も技術家庭も4か5しかもらったことがないって、はいはいそれ前も聞いたよ〜な自慢話が、まんざらウソ800ではないことがおわかりいただけたでしょうか。
使った工具と一緒に記念撮影をしたのがコレ。
100円ショップでありとあらゆるものを買ってるのが見事にわかりますね。
ちゃんとした工具は高いのよ。
そんなわけで、一度は楽器屋に見放された我が2号機、引退が回避できてよかった。
出費も抑えられてああよかった。
内訳は、アルミ板が200円くらい、ねじ類は5円とか10円とか、工具は予めあったものがほとんどで買ったのはヤスリくらい。作業代金=タダ。
さらに特典付き。
感電するから、肩こりも直るはずで、長時間の演奏や過酷なツアーでも、演奏中に電気治療よオクサマ。
演奏中はアースに触れた腕を離すことが出来ないので、いつでも同じフォームを無理やりスパルタ矯正システムよ、イヤでもうまくなるわよ。
さらには。
髪が逆立つような過激な演奏をお見舞いしてやるぜ。(感電しているから)
オレ様に触るとヤケドするぜ。(感電しているから)
雨天の野外はちょいとヤバイぜ。(感電しているから)
…。
思えば、壊れて見切りをつけたオベーションの代打としてワタクシのところにやってきて、ここ10年でいちばん働いた楽器。
クラシックと違って、高級な生音がすればあとは手ぶらでいい仕事じゃありませんからね。現場によってはPAもないところ、あっても使い物にならないところ、そもそもあるかないかわからない仕事も多いんで、そのときの対策としていちばん間違いないのが、この楽器だったんですね。コレとビンゴっていう小さいアンプでたいがいはなんとかなってしまいます。
そりゃ生の音色は1号機と比べたら可哀想。値段が10倍違います。現役で使っている楽器が全部で9本あるなかでいちばん安い楽器でもあるんですが。
便利で器用でワガママ言わない。「弾く前に手を洗え」みたいな上から目線の態度もない。
他の楽器に較べてチヤホヤされることもなく、家ではアンプを使って弾く必要がないので、たいがい壁に下げらたままで相手にされず、そのくせいざ本番では荒っぽく弾かれ、叩かれ、こすられてる、こんな冷遇されても、文句も言わずに多くの難しい現場を乗り越えてきました。
なんだかんだで頼りになる楽器ですので、やはり必要で。
今回、ギターには不釣り合いな金属でドレスアップしてしまいましたが、まだまだ現役でやってもらわないとね。
…。
ちなみに、5mmのアルミは扱いが実に楽ちんで、ギターの曲面には何も加工しないで曲がってくれることがわかりましたので。
今度はもう少し高級感を出すために、1.0mmくらいのものを上手に手曲げして、ヤスリで角や表面を仕上げて「yaruki-desu」とか刻印とかもして(打刻印)取り付けたいと思います。
そうなの、おぢさんちはね、他には何もないところに住んでいるんだけど、
家から歩いてすぐのところに、日本でも有数のホームセンター「ジョイフル本田」がある環境なの。
DIYよ、Do It Yourself。
と、鼻高々でここまで書いて、ハッと気が付きました。
割れたオベーション。前半で書きました。これが元でこの2号機を買った、オベーションは今物置でケースに入って粗大ゴミになっていると書きました。
今回のトラブル。
ここまでやるなら。
なぜ、このゴミと化した元高級楽器からパーツを取って、移植を考えなかったか。
…。
さきほど
2号機の中から、コロコロと異音が。
アレ、出てきてはならないはずのワッシャーが出てきた。
…、やれってことか。
やるか。
もう一回やるか。
うまくいったらすごいかも、外見はサニーとかウイングロードとかのおっさん車、でもエンジンはBMWみたいなことになる。
そのかわり、このアルミ板は何ですか?ということになる。
撤去すれば、この穴はなんですか?となる。穴を埋めれば
この穴の跡はなんですか?きりがない。
勝ち負けでいうとどっちか。
すでに負けでは?
DIY。
*今どきのデジカメはわずか6000円なもんでもけっこうきれいに撮れるんですなあ。これは収穫でした。
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