みなさまこんばんわ。
ナガイネ!で勝負のフンドシブログでございます。ジャズに馴染みのないかたに向けて、自分の音源をいじりながら、解説を行なっているつもりのものです。前回は文章だけでなく、とうとう20分にも及ぶ、フンドシ音源を紹介してしまいましたので、ぐっとお読みになっているかたが減ったとおもいますが、漕ぎだしてしまった船なのでしょうがありません。
そのお詫びというわけではないのですが、今回はわずか7分のコレ。
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前回と比べると、比較的まともな曲で、タイトルが「Missing(Child)」、邦題が「行方不明(の子供)=迷子」というものです。少々キザなタイトルがついているのにあまり意味はなくて、なんでコレかというと、楽曲を書いてみたものの、案外難曲になってしまい、すぐどこをやってるかわからなくなる、つまり気をつけないと迷子になるからという、実にクダラナイものです。
これもこのバンドのために書いたかというと、例によってそうでなくて、このバンドを始める前、チューバとギターのDUOというのを誘われてやっていたんですが、その初演のときに、例によって「手ぶらじゃなんだから」という理由で書いて持っていったものです。
一見なんてことはない曲なんですが、変なコードがいくつかあって、通常使うスケールではうまくいかないところがあります。これらはギターだからこそ響く音を優先させて、採用しました。
アドリブパートが2つ書いてあって、2つめのパートは一度しか使いません。なんのことはないテーマと同じ進行なんですが最後一小節だけ余計なコードが入っていまして、ここいらが当時はおそらくユニークだったと思います。
このテイクはMP3ページで公開していないものなんですが。
どうです、バスクラが素晴らしいでしょう。
私が小森さんと演奏している意図がおわかりいただけるかと。
…。
ジャズに馴染みのないかたにって話で進めてきましたが、ここまで自分の曲の話ばっかりであんまりなんの解説もしてないですね。
ウソはよくないですねウソは。
なので今回は少ししましょう。
ここまでご紹介してきた曲がおそらくすべてそうなんですが、ジャズのスタイルだとこのように
テーマ → アドリブソロ → テーマ。
というフォーマットを基本に持っています。
このテーマは、つまり楽曲ワンコーラスのことです。タンゴと違ってこっちの楽曲は短いのが特長です。24小節とか32小節とかです。ピアソラの長い作品が200小節くらいあるので曲としては短いです。
で、アドリブ部分は、この楽曲のコード進行を繰り返します。どれだけ繰り返すかというと、まあ気が済むまでと思っている人も多いんですが、平たく言えば、周りの空気が退屈する一歩手前まであたりでしょうか。
いや、それだけではないですね、時間的、現場的に予め長さを決めるなんてこともあるし、そもそも決めたがるバンドもありますし、逆にこっちが気が済んでもやめさせてくれなかったバンドもありますから、いろいろです。
そもそもこのアドリブ部分は、今でこそ演奏の中核みたいに捉えられるんですが、これは実は間奏から発展したものらしくて、当初はあまり重要ではなかったらしいです。
単なる間奏として、そのためにアレンジしたり作曲すんのも面倒でアドリブできるこうした演奏家に任せたという、実にアメリカらしい合理的な生産手法の一部だったわけですね。
この間奏部分が、発展していくと。まあ乱暴に言えばこういう流れです。
つまり間奏を聴きもの、売り物にするわけですから、カエルの歌みたいなシンプルなものってわけにもいきません。
では、瞬間で作曲しながらやっているかというと、必ずしもそうではなくて、コード進行が譜面に書いてあって、これを利用します。
どう利用するかというと、コードが書いてあるということは、出しても間違いに聴こえない音が書いてあるのと同じことなんで、ここをうまく通過させながら、
(バラード以外は)リズムを利用して、飽きさせないようにする
私はこんなふうに教わりました。
コードというのはたいがい、進行にパターンがあって、しかもけっこうコピペな使い回しをするのがふつうなんで、
それがなんとなしにわかれば、譜面もいりません。
具体的な使用方法をクラシックなかた用にアレンジして説明しますと。
分散和音とそれらを横につなげる短いフレーズをコードに乗っけてうまく連続進行させると、
アラヤダ奥様、これは「なんちゃってバッハ」。
クラシックなかたならちょっと試してみたらできるんじゃないかな。
でもこれだけだと平坦でずっとダラダラ連続してカッコ悪いから
このバッハなものを
ヒップでホップなリズムでフェイクして、あと自分一人で演奏するわけじゃないから人の音もちゃんと聴こえるように、間もあけてみると。
一生懸命やっちゃダメですよ、そうそう手を抜くの手を。和音なんてたまーに申し訳程度に弾くくらいで。
自分がNYの黒人になったような、シャネルズな思い込み、これが近道ですよ。
シンプルではありますが、こんなもんで一応なんとかなるかと。
確かCパーカーを題材にした映画「バード」、これの始まりは幼きパーカーが縦笛でバッハを吹いてるところから始まりましたですね。
…。
私の曲の話に戻ります。
この曲はけっこうウケたんで、演奏回数は多かったんですが、
こんな作りにしてしまったので、案外自由に演奏する方向にいかず、
作者自身、曲は気に入ってるんだけども、
当時演奏していて面白い曲ではありませんでした。
譜面のとおりいろいろ決めすぎて、発展の要素が見当たらない。
ベースとドラムが最後のほうまで待っているという、お預け状態 これもそうしてちょうだいって決めました。犬じゃないんだから。不自由な要素で、申し訳ない。
なんでこうしたか。
曲が長くて、バラードで退屈だから、小心者のワタクシは、いろいろシナリオを書いてしまったと。
そういう意味じゃ、ジャズなんだかタンゴなんだか、どっちなんだか。
まだタンゴのタの字も知る前の作品なんで、影響は0なはずなんですが。
最後の終わり方は、ジャズではないわね奥様。チャンチャンで終わってる。
こんなことするからマリアに狙われるんだな。
まあなんでもいいんですけどね。
いろいろあったほうが退屈しないと思うんで。
ちなみにこの曲、タンゴではどうかと持っていったことがあります。
一度くらいはやってもらったと思います。
で。いただいたご感想。
難しいからヤダ。
というわけで、まあそれっきりです。私ゃタンゴのほうが100倍難しいと思うんだけども。
MP3のページの2008年の録音でもこの曲はバスクラとギターとDUOになっています。
ナンデか。
この日はバンドネオンも入って、タンゴなテイストの予定だったんですが。
前の曲で、バンドネオン奏者がやる気満々で、楽器の取っ手をぶち切ってしまった次の曲だったんでDUOになっちゃったんですね。
その時、バンドネオン奏者は、工具出して背中丸めて楽器直してました。
この日は打ち合わせなしで、バンドネオンとバスクラのDUOにしてから、マイルスみたいにいちばんオイシイところから入ろうとニヤニヤ画策していたので、残念だったのを覚えています。
2 comments for “Missing(Child) イチロウQ ver1.0 2005”