La Cumparsita

みなさまこんばんわ。

ナガイネ!を定着させたくて書いてきたフンドシブログへようこそ。

タンゴに馴染みのないかたへ向けて自分のバンド動画をいじりながら解説を行なって参りました。

今回はその最終回です。最終回なので、かなりの長さが予想されます。

タンゴと言えば、この曲。と扱われております、最終回はもちろんこの曲
そう、タンゴに馴染みのない同世代のみなさまが鬼門としてきた、

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La Cumpersita 略してクンパル。邦題がこれまた意味不明ですよ「仮装行列」。

日本にちょうちん行列の習慣はあっても、仮装行列なんてやったことないですからもうそれだけで意味不明。

でもタンゴといえばラ・クンパルシータ。一度くらいは耳にされたことありますよね。

アルゼンチンタンゴの代表曲、取締役社長のような、つまりタンゴの顔のような看板曲。

なんですが。

この曲、実はアルゼンチン製品ではなく、ウルグアイかなんかの他国の曲。

しかも、どうも複数の人が足で書いたらしい合体曲と何かで読んだことがありますがほんとうでしょうか。

ほんとうだとしたら実にいい加減。京都の舞妓さんが実は出身が浦和だったりするような。

いかがなものか。

今調べてみたらおおよそ当たっているみたいでした。ウルグアイの学生が行進曲として書いて、タンゴ楽団がさらに追加したとなっています。足で書いたかどうかは解説されていないのでわかりませんでした。

うちのMCだと「邦題が仮装行列です」と解説されるんですが、wikiの説明だと「学生行列」ともっと馴染みのないものに。

学生行列?ヘルメット被ってやるやつ?それは行列というより運動とか行進とかですからやっぱりピンと来ない。

そもそも、この曲、曲と言うよりは、「リフ」ですねリフ。

コードトーンが4分音符で分散和音式なメロディ、つーかリフ。ジャズで言うところのバーティカルなフレーズが、ドミナントの分際で何のテンションも含まずに、I – VII  –  V –  III ~。

シンプルでいいと思いますが、ちょっとオチョクリすぎじゃあないでしょうか。

タンゴといえばラ・クンパルシータ。

これがタンゴを印象づけているとしたらですよ。

かなりタンゴは損をしているる と言わねばなりません。

…、そう思ったみなさまは鋭い。

これはなにか理由がありそうですよね。

今回は最終回なんで持論も暴走しますよ。

…。

ワタクシが睨んでおりますのは…。

うっとりするような名曲が星の数ほどあるタンゴ楽曲の代表取締役、つまり看板がコレ、クンパル。

ところが、楽曲とは面白いもので、メロディ←→リフ、このバランスは、いじりにくい←→いじりやすい、つまりアレンジやアドリブのやりやすさと関連しているんですね、と私はずっと考えていまして。

例えばジャズのかただと、オレオやマイルストーンのほうが、ディズニーチューンのいつか王子様がとか虹の彼方へあたりよりも展開しやすいなと経験されますよね。

モーニンはアレにしかならないし、リハやんないとアレにさえならなくてバラバラにもなりやすいけど、ステラはどんなふうにもなったり。

そのソレね。

 

このラ・クンパルシータという楽曲、タンゴにしては珍しく、自由に演奏ができる、数少ないリフ、いや曲で。

うちのクンパル、あそこのバンドのクンパル、今日のクンパルなんてふうに扱いやすい。

もっというとタンゴの枠を超えて、いろんなふうに利用しやすいんですね。

人気があるという根底には、いろいろ形をかえて、その土地の人に普及しやすかったということがあるのかな。

まず本場の王道

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わっはっは。ワタクシは何故かジェイムスブラウンを思い起こしてしまうんですが。

ヨーロッパの方法だと
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これは前の連載でご説明したとおり。コンチネンタル・タンゴだと”あのドラム”が入ります。

さらに。

著名な歌手では
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スペインのかたなんですね、知らなかった。

他に

例えばジャズ方面のかたでは

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美人ですねー。でもクラシック出身じゃなくジャズ出身ですよ、「でも」ってナンダ。バップとかやったらすごいらしいと、昔の仲間から聞いたことがあります。みなさんご存知ですね。 …、あのドラム入ってますね。

ギター方面を見てみます。

コレはどうでしょうか、地元土浦の大親分。ここ土浦で芸能人といえばこのかたです。
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エレキブームの頃のサウンドですね。モズライトのギターは今でも高いそうですね。

クラシック・ギターアレンジですとコレ。
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お上手ですねえ。テーマの頭をフラメンコで使う爪を外にはじく奏法、ラスゲアード奏法というんですが、クラシックギターアレンジは、これを使っているのが特徴です。
うーん。これはアルゼンチンなタンゴギターでは実はあまり使われないんだけどな。

では、本場アルゼンチンのギタリストが弾くとどうなるか
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すごいですね。やんなちゃいますね。まさに豪腕。パコ・デ・ルシアやマクラフリンと共演してもらいたいですね。

最後に、コレ。

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どこの国の子?すごーい。

…。

少々ギター方面に転がり落ちてしまいましたが、いかがでしょうか。まさにオラが国のクンパルですね。youtubeのヒット数でそれぞれの支持者がいることがわかります。

はい、タンゴと言えば、何故かこのへんちくりんな曲、ラ・クンパルシータ の話に戻りますよ。

ラ・クンパルシータがタンゴの顔、代表曲というのは、その扱いやすさ、もっと言うとどんな国の人でも受け売れられやすいからだったのか、まさにタンゴ開発委員会が企画会議を重ねに重ね、少々へんちくりんな曲でも、隣の国の学生が足で書いた曲でも、これなら改造しやすいどの国仕様にもなる という意見が多数を占めて選定した曲だったんではないか。

つまりバンドネオンでなくてもテケテケなエレキギターでもウクレレでも三味線でもシタールでもバラライカでも、世界各国クンパルシータ戦略。

なので。世界どこへ行っても、タンゴと言えばこの曲。

なるほどー。

現在アルゼンチンタンゴは、アルゼンチンワインと並んで、外貨獲得のための大切な資源ということです。タンゴの場合は、ダンスをやる人口が世界中にいますから、お伊勢参りならぬ、ブエノス参りということですね、いちばん手っ取り早い外貨獲得手法、すなわち観光収入です。

つまりこの曲は、タンゴに馴染みのないみなさまが起こしている一種のタンゴアレルギー、これらを見通していて、つまり想定内で、わかった上で世界中の文化や音楽とあえて融合させ、本場でないものを各地で作り出させ、普及したあとで、

「 本 場 は こ う よ 」

と来る。

ここがNYとはちょっと違う。フィール・ソー・グッド聴いてジャズみたいなものに目覚めてNYに行く人はあまり聞いたことがありませんよね。ふつうその後ジャズ喫茶でマイルス聴いてファンになりましたよね。

ところがタンゴはそれでは困る…。

外貨ね。

ブエノス行かなきゃ、タンゴはわからないわよオクサマ。

片道48時間などなんのその。

委員になるには、なるほど。クンパルの普及、日本式クンパルの開発。ドドンパでもハマりそうなこの楽曲。というかリフというか、一種のテンプレート、これを。

各国のクンパルとして普及させ、

普及が目的だから、

それは違うドラム要らないフラメンコじゃないジャズじゃないクラシックじゃない 間違ってる

と、言わないところが実に巧妙。懐深いですね。

それぞれ面白いよ、いいよいいねイイネ!

でも

ほんとはね…

本物はこうだよと

マリアは死んでもマリアは死なない

ブエノスおいでよと

囁く。

ワタクシがこうして延々フンドシ論文を記してきたこと、この行為自体描かれた絵のまんま。そのまんま。

いやはや、すごいですね。タンゴ。

タンゴといえばこの曲!ラ・クンパルシータ。

リズムの裏の裏は表なのよ、わっかる~。ブエノスは仙台だからね。わかるかな~。

ブエノスの裏側は上海じゃなく小田原よ。

ねえねえ、知ってる?

アルゼンチンどころか韓国までしか行ったことのワタクシの、どの口が。

Yes、我々ミユキタンゴのクンパルシータよ。それでいいの。

 

そのうちワタクシ宛に封筒が届く。

開ける前からオチがわかるような。

「タンゴの故郷、ブエノスアイレス1週間の旅 48万円 ご優待 :from タンゴ開発委員会」

消印がなぜ仙台。

……。

これで終わりかと胸をなでおろしているみなさま。

今回ばかりは、そうはいかないんです。

最後に大きな疑問が残っているはずです。

委員会の存在。それはわかった。

では

委員会を企画運営しているのは一体何者か。

さきほど委員が耳元で囁いた、

ブエノスおいでよ

これはよくわかりますが、気になるのは一行上。

「マリアは死んでもマリアは死なない」

呪文のような。

何か暗示をしていますね。

リマさんもファンダンゴスの連中もこれを耳元で囁かれて、人によっては借金までして、ブエノス参りに行ってしまった。

 

聖母マリア?

方向としては逆です。

安西マリア?全く関係ありません。そもそも若い人は知りません。

…。

コレ書いたら抹殺されるかな。

 

このマリアはタンゴの伝説。

西洋から言えば、夜の神、土地の神、つまり悪魔。
そうタンゴには夜の神、西洋でいうところの悪魔が棲みついている。

最後の最後でオカルトかよ、と辟易しているみなさん。

証拠写真があります。

これは先日、大塚からチンチン電車で向かう、雑司が谷のタンゴ・バー・エル・チョクロという店で偶然撮影した実に貴重なものなんですが。

マリアがその正体を、よりにもよって日本、しかも小田原でなく池袋近辺で現したもの。

では

ご覧いただきたい。

maria

もう一度…

maria2

おわかりいただけただろうか…。

マリアは死んでもマリアは死なない

ブエノスおいでよ

ついでに言うと今の曲、そことあそこ間違ってるよ

と訴えている。のだろうか…。

このマリア伝説、ブエノスアイレスのマリアというタイトルでピアソラが60年代の終わりごろに歌劇にしています。

今年、小松亮太さんがこの超大作歌劇の完全再生に挑んでいます。こんなこと世界で彼しかできないことですね。
ファンダンゴスの谷本氏もメンバーとして参加しているようです。1月に初演されたコレ、彼がブログに残しています。アレ、あんたは夜の神に「悔い改めよ」っていう立場な仕事してるんじゃなかったっけ。

みんな、マリアに魂を射抜かれてしまっているようです。

 

そんなみなさまも、ついにここまで読んでしまいましたね…。

そのうち封筒届きますよ。

…。笹かまと一緒よ。

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我々の動画とともに書いてきました連載、フンドシタンゴ解説はこれでおしまいです。

みなさまありがとうございました。とくに初回ブエノスアイレスの冬から、流れでというかつきあいでというか、しょうがなくお読みいただいたみなさま、お疲れ様でした。

タンゴに馴染みのないおとっつぁんならびにおっかさん、少しは興味を頂いていただいたでしょうか。

タンゴファンのみなさま、浅知恵の思いつき論文でほんとうにスイマセン。

お送りした動画は、甲府桜座で撮影されたライブ動画を1曲ずつバラして解説したものです。

ノーカット版は
El Fuelle 2012 Tour “Sakura-Za” Part1

El Fuelle 2012 Tour “Sakura-Za” Part2

 

としてyoutubeにあげてあります。どちらもフンドシ動画です。

こんな素敵な記録をいただいた桜座さんと連休明けの平日にもかかわらず駆けつけていただいたご来場のお客様にとても感謝してます。ありがとうございました。

出演メンバーは。
ケンジ&リリアナ(dance),佐藤美由紀(p),スズキイチロウ(g),川波幸恵(bn),山中裕平(vl),清水良憲(cb),

El Fuelle+ケンジ&リリアナ それじゃ意味不明なので
邦名が”ミユキタンゴ”一座でございました。

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