みなさまこんばんわ。
ナガイネ!が魅力のフンドシブログへようこそ。
連載でタンゴの解説を行なっていまして今回が第八話。
今年の寒さは、かなり気合が入っていますね。なので我が家、とうとう我慢ができなくなりというかファンヒーターでは足りなくなり、だからといってエアコンの温風では電気代がかかってしゃくに障るというわけで。
出してきました20年前の石油ストーブ。我が家ではこれを2号機と名付け、再稼働しました。
石油くさいが、ワタクシは喫煙者でそもそもくさいので、というか子供の頃から石油の匂いは慣れているので、むしろ懐かしいし、やはり直火は暖かい。家屋そのものが暖まるんですね、なので二階もわりかし暖かい。寝る時も楽ちん。
しかもです。
昭和な石油ストープには「やかん」。いつでもお湯が使える。意図して沸かした湯でないので、何か得をした気になります。
この2号機のお湯で。
私は紅茶を飲むのよ。ああなんて昭和な気分。ストレートティーですわよ奥様。日本語で言うところの素紅茶。またの名を「貧乏紅茶」。
だってお湯入れるだけだもん。砂糖も牛乳も入れんのメンドクサイんだもん。ティーバッグ捨てるのさえメンドクサイからそのまま飲んでます。
そんなみなさまもビンボー紅茶を飲みながら本日はこの曲
Mano Bravaという曲です。邦題が「豪腕」というさっぱり意味がわからないタイトルがついています。
紅茶はインドが原産地、ところがブランドはイギリスでありますね。
さあみなさんお待たせしました、なんと、ここからが本文です。
タンゴの誤解。
内容が内容だけに今日はさらに長いですよ。
タンゴの誤解ね。ジャズ方面から感じる誤解。
同世代のおとっつあん&おっかさん、タンゴといってイメージする音ってこんなんじゃないでしょうか?
こんなかと。
ワタクシ自身がそう思っていたので、とてもよくわかりますとも。
インド産の紅茶がイギリス経由、日本入り。
シナモンと牛乳入りの紅茶がどこでどうなったかレモンティーWithイチゴが乗っかったショートケーキとなって日本では定着。(角砂糖もついてくる)
同じような図式でしてね。
今紹介したのはタンゴといってもアルゼンチンから輸出されたヨーロッパのタンゴです。
ダンスはよく駅のそばにある××ダンス教室なんかの、社交ダンス、ソシアルダンスと呼ばれる部類です。
タンゴのイメージってコレですよねオトーサン。
まだピンと来ない?
この紅茶な例えがイマイチなら、カレー。
渋谷サムラートあたりのインド料理専門店と資生堂パーラー。
どちらもカレーでありますが、ご存知のように
まさに西城秀樹と東条英機くらい違います。
カウント・ベーシー楽団とポール・モーリア楽団くらいの距離でございましょうか。
タンゴは都会の音楽とはいえ、(前回の解説によりますと)仙台です。従って、ヨーロッパの社交界とは方法がちょっと違うんですね。つまりパリに「ずんだ餅」を持っていったわけです。で、これがとても気に入られて、上流階級のパーティで、ずんだ餅がデザートとして上に生クリームとか乗せらたりしてアレンジされてナイフとフォークと紅茶、という扱われ方になったものだと思われます。
まあ、これはこれでひとつのスタイルとして定着していて往年のファンのかたもいらっしゃるようなんでいいんですが。
資生堂パーラーのカレーだけのイメージでカレーは苦手よオクサマと烙印を押されてしまうと、全国のインド料理店は困ってしまうと、申し上げたい。
つまりタンゴには現地アルゼンチンタンゴとヨーロッパのコンチネンタル・タンゴの似て異なる2つの種類が存在するというわけです。
そしてこれが混同されたまんま誤解のもとになることが多いと。
カレーによる、タンゴの誤解解説。ご理解いただけましたでしょうか。
カレーがいつしか「ずんだ餅」でも、もうわかったからもうここいらにしておいてくれ?
そうはいきません。
今日はけっこう核心部分なんでクドいですよ。
わかっていただいたんで、お話しできるんですが。
タンゴはカレーより、もう少しややこしい。
タンゴは固有のエリアで作られた「民族音楽」ではなく、シャンソンとかポップスみたいな融合音楽ですから材料が原産かどうかそもそも曖昧で、つまり現地の音楽にいろんな音楽を輸入して融合させてできている、
つまりアルゼンチンは本社かつ工場なんだけど、材料はけっこう輸入された部品が多い、その大きな輸入元が困ったことに製品を輸出するヨーロッパだったりするわけで、ここがややこしい。
銀座三越の仙台物産展で、ずんだ餅の原料のいくらかを資生堂パーラーの近くの千疋屋で仕入れていたような話ですのでタダ事ではありません。
材料の多くがヨーロッパと南米の海方面と山方面(ペルー・ボリビアなどつまりフォルクローレ)。これに地元の材料も上手く組み込んでタンゴができる。→ ヨーロッパに逆輸出、そこそこウケるが、品がないのはいかがなものかと当局から?待ったがかかり、上品かつ甘口に再調整。りんごとはちみつを溶かしたりしてパリあたりで勝手に再調整。
できあがったのが上記ヨーロッパなタンゴ、すなわちコンチネンタルタンゴ。
これが日本の社交界に舶来品としてパリあたりから社交ダンスとともに日本に輸入され、舶来品といえばナポレオンVSOP、ダンヒル、「ゴロワーズというタバコを吸ったことがあるか~い♪」「小雨振ればひとり待つニーナー♪」と、ムッシュかまやつやジュリーとどこかで混同し、幼きワタクシのタンゴの誤解、先入観の元となる。
どうです、長い割に、大した説明でなく、余計ややこしいでしょう。
かなりオチョクった内容になってしまいましたが、まあおそらくはこうかと。
…。
アルゼンチンタンゴの音楽的な大きな特徴は基本的に「打楽器を使わない」んです。
これもおそらくクラシック、つまりヨーロッパ音楽の影響なんじゃないかと私は思うんですが、というか仙台は都会だから→三越あるから(前回のブエノス=仙台説より)、下品な打楽器は禁止ですと当局が…。
ところがヨーロッパから輸入したときには条例にならって打楽器を入れなかったのに、いざ輸出してみるとちゃっかりヨーロッパじゃドラムとか入れてる。日米貿易摩擦を思い出させる微妙な関係ですが。
音楽の歴史にはこうした不純異性交遊や「できちゃった婚」はつきものどころか、親がたいしたことなくても東大入っちゃうような子供がうっかり産まれてきたりするわけで。
アリだと思いますよ。
ただ今回のコレ
コンチなコレね。
ここだけの話…、
ドラムはこの感じで入れるとカッコ悪いよね。
…。
そもそもドラムは今回の物語とは関係ないUSAな発想の楽器ですからやっぱりちょっとね。
結論としてこのドラムなセンス、アウフタクトのドラムロール。これが誤解の元、つまり諸悪の根源と私の記憶は物語るのですがいかがでしょうか。
(ついでに言うと、ベース音や和音を4つ連続同じ音で弾いたりも、しません。)
ここ、大切だと思うんで、もう一度繰り返しますが、アルゼンチンタンゴは打楽器を基本的に使いません。
打楽器以外の楽器が無理して強靭なリズムを出すのが、醍醐味でございますのよ。
…。
さて今回の動画。さすがにここまで長いともう誰も読んでないとおもいますが、決まりなんでしょうがありません、書きます。(最初にさっさと書いてしまえば良かった)
何でしたっけ? そう、Mano Brava 豪腕。
当然ドラムは入ってません。
この曲は2話前に解説したミロンガのリズムの曲ですね。このアレンジ、Horacio Salgan(オラシオ・サルガン)さんという、ジャズで言えばセロニアス・モンクみたいな奇人のピアニストのものを元にしてるんですが、ちょっと変わっているのは、USAとあまり縁がないタンゴの曲にしては珍しく、ブルーステイストが入っているという。最後の音なんか7th系にしていいかどうかいつも迷って、どっちでもない69とか小心者なワタクシは弾いているんですが、明らかにブルース入ってますね。
キューバあたりの浜通り系ラテンなリズムも入っています。ミロンガとラテンのリズムとタンゴが融合しているようなアレンジに、ブルースをふりかけているような感じ。
このアレンジのセンス、なかなかオチョクっていて私はとても良いと思います。ブラスセクションもコントも入れてみたくなる。
ちなみに原曲はシンプルなミロンガのようです。
…。
ワタクシの譜面台から譜面がはみ出ていますね。
この曲、譜面がA4で4枚あります。
なのに、長さわずか3分25秒。同じフレーズが出ているようで実は出てこないので、繰り返し記号なしの「フンドシ譜面」になっていて、一般的な譜面台には3枚以上は載らないので、1+3にして一枚目を曲の途中で投げ捨てています。
聴いてるとどこかひょうきんな曲なんでそんな感じがしないと思いますが、弾いてみるとけっこう難曲で。
練習して練習して譜面の投げ捨てまで練習して
3分25秒。
天地真理とかのヒット曲と同じ長さ。
タンゴはこんなんばっかりです。ありようとして曲が短いんですね。ピアソラの大曲ものでもだいたい7分。
練習して練習して、7分。
吉田拓郎の「イメージの詩」より短い。
5分を越えるとジャスラックには2曲分として支払うのよ録音物作るときは。
明日のピアソラを目指す音大生諸君。今創作しているその曲が4分50秒だったら、エンデングでありとあらゆるところにフェルマータをつけたまえ。
たったそれだけでポイント2倍。
…。
タンゴはダンス音楽。
ダンス音楽って一般的なイメージからすると短いというよりはむしろ長いと思うんだけど。
一般的なイメージ?
当然アース・ウインド&ファイアーよ。それと愛のコリーダとメリージェーン。
ホラ、どこか長い。
タンゴは違うわね。逆の方向よね。
短くするメリット?アレか。
ダンスといっても男女ペアだから。
だから?
ダンスの相手を交換しやすい。
タンゴの始まりはいかがわしき酒場の音楽。××円ポッキリ、延長なし。
営業効率UP!
カネのなさそうな客ならさっさと次の曲でチェンジできる。
歴史としては、案外そうだったりして。
今度専門家のかたに聞いてみます。